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ページ 02  ALOS( エ イ ロ ス ) と は、2006 年 1 月 に 独 立 行政 法 人 宇 宙 航 空 研 究 開 発 機 構(JAXA) が 打 ち 上 げた「陸域観測技術衛星(Advanced Land Observing Satellite)」 で、 愛 称 は「 だ い ち 」 で す。ALOS は、3 方向視の画像を同時に取得するパンクロマチック立体視センサ(PRISM)、土地被覆の観測を高精度に行う た め の 高 性 能 可 視 近 赤 外 放 射 計 2 型(AVNIR-2)、お よ び 昼 夜 や 天 候 に よ ら ず 陸 域 観 測 が 可 能 な フ ェ ーズ ド ア レ イ 方 式 L バ ン ド 合 成 開 口 レ ー ダ(PALSAR)の 3 つの高性能センサを搭載しています。  財 団 法 人 リ モ ー ト・ セ ン シ ン グ 技 術 セ ン タ ー(RESTEC) は、ALOS デ ー タ 主 提 供 業 者 と し て、ALOS 標準処理データの提供をはじめ、付加価値・高次 付 加 価 値 製 品 の 開 発 及 び 提 供、 販 売 ネ ッ ト ワ ー クの 拡 充 な ど、ALOS デ ー タ の 利 用 促 進 を 目 的 と し た様 々 な 活 動 を 実 施 し て い ま す。ALOS デ ー タ の 利 用は 拡 大 を 続 け て お り、 こ の た び、 そ れ ら 利 用 の な かから一例をまとめた「ALOS data 利用事例集 2008」を 作 成 致 し ま し た。 本 事 例 集 が ALOS デ ー タ の 用 途や 使 用 方 法 の 参 考 と な り、 ひ と り で も 多 く の 方 に とって ALOS データを利用する契機となれば幸いです。 RESTEC は、今後とも ALOS データの利用拡大、ひい て は 地 球 観 測 衛 星 デ ー タ の 利 用 促 進 及 び 社 会 へ の普及へと取り組んでまいります。2008 年 12 月財団法人リモート・センシング技術センター

ページ 1 I N D E X▪インターネットへの利用ポータルサイトgooにおけるALOS 利用Yahoo!地図におけるALOSデータ利用JALホームページ「JAL MAP」における  ALOSデータ活用についてALOS 利用最新動向と今後の展望 ~ Digital Earthのメインコンテンツとして~▪資源分野ALOS PRISM 三方向視を使ったDEMの作成▪国土管理ALOS 衛星データ都市計画分野への応用地図作成におけるALOS 利用ALOSデータを利用した汀線変化状況の解析▪災害への取り組み静岡県における大規模盛土造成地の  変動予測調査へのALOS 利用大規模・広範囲の土砂災害におけるALOSデータの利用ベトナムにおける洪水監視システム構築への取り組み▪農業分野ALOSデータを活用した面積調査母集団整備等の現状ALOSデータの現業利用の紹介 ~農業における利用事例~▪環境分野ALOSを利用した八王子市緑被率抽出山岳氷河モニタリングへのALOSデータの利用NTTレゾナント株式会社 2ヤフー株式会社 4株式会社日本航空インターナショナル 6慶應義塾大学 8Geoimage Pty Ltd. 10江蘇省南通市計画規劃編制研究センター 12PASCO China Corporation 国土交通省国土地理院 14株式会社アルファ水工コンサルタンツ 16財団法人ベターリビング 18財団法人リモート・センシング技術センター国土防災技術株式会社 20財団法人リモート・センシング技術センター 22農林水産省 24株式会社ビジョンテック 26株式会社建設技術研究所 28株式会社スーパーマップ 財団法人リモート・センシング技術センター 301

ページ 2 ALOS data 利用事例集 20081.はじめに NTT レゾナント株式会社が運営する「goo」は、1 か月あたり約 4,200 万(2008 年 9 月現在)ものブラウザから利用されている国内有数のインターネットポータル(玄関口)サイトである。1997 年 3 月にサービスを開始し、今日では 70 を越すコンテンツ、サービスを提供する総合ポータルサイトとして運営されている。 サービスの中核となる「検索サービス」では、一般的なウェブページの検索サービスのみならず、辞書や地図、その他各種実用情報など、多彩且つ膨大なデータベースから必要な情報を便利に取得できる専門検索サービスも併せて提供している。「goo(グー)」というブランドネームには、「コレが知りたい!アレが欲しい!アソコへ行きたい!」等、ユーザのあらゆる知識欲 / 物欲 / 好奇心をかなえるための “ 最初のパートナー ” として、ネットを使いこなす全てのユーザに「さいしょはグー!」と覚えてもらいたいとの願いが込められている。2.gooにおける地図の役割 gooサービスのひとつ「goo 地図」は、住所や郵便番号、駅名、ランドマーク名から周辺の地図を検索できる日常生活に役立つ情報提供サービスである。地図はマウスやキーボードでの操作にあわせてスクロールし、周辺の地図が自由に見られるだけでなく、周辺の飲食店、宿泊施設、最寄駅、天気予報などを探す機能がある。 goo にとって地図とは、行動をサポートする際の中心のツールであり、「より詳しく、より便利に、よりリアルに」を追求した行動支援メディアである。3.ALOSデータを利用するにあたって(1)スクロール地図 goo の地図は、地図が自由にスクロールできることが特徴のひとつである。goo の地図に ALOS 画像を搭載するにあたって、複数の ALOS 画像上をスクロールしてもつなぎ目が自然に見えることが必要であった。ポータルサイト goo における ALOS 利用NTT レゾナント株式会社 ポータル事業本部メディア事業部 検索/システム部門 小澤 英昭行動支援メディアに ALOS を活用図1 行動支援メディアとしてのgoo地図Copylight©2008ZENRIN CO.,LTD.(Z08LE第014号)

ページ 3  そのポイントとして、以下の作業を行った。1)複数の画像をつなぎ合わせて、一枚の大きな地図にする。2)つなぎ合わせる上下左右で、類似する色味に調整する。3)雲がかかっている所を除去しながら、画像をつなぎ合わせる。(2)モザイク処理によるつなぎ合わせ ALOS の画像はシーン単位での提供であり、各シーンは前後のシーンと少しずつ重複している。このため、一枚、一枚の ALOS 画像を単につなぎ合わせた場合、重複している部分が2重になるなどして「一枚の大きな地図」には見えない。そこで雲の少ないところや色味の似ている所を選んで、小さなタイルにしてつなぎ合わせるモザイク処理を行った。 以上の作業の結果、全国をくまなく撮影した衛星写真による、均質なサービスが実現した。4.終わりに、今後の展開 目で見てそのことを実感する為には画像が綺麗だという事は非常に大きなインパクトがある。今後も目で見た時に、あっと感動出来るような写真が撮れていれば活用に値すると考える。 また更新頻度を上げれば、ユーザが新鮮さを感じることができる。例えば四季折々に衛星画像を更新し、さらにその時期にマッチした観光情報との融合を図るなども面白いと考える。▪goo地図 http://map.goo.ne.jp/図2 地図画像のスクロール図3 goo地図におけるALOS画像Copylight©2008ZENRIN CO.,LTD.(Z08LE第014号)Copylight©2008ZENRIN CO.,LTD.(Z08LE第014号)Copylight©2008ZENRIN CO.,LTD.(Z08LE第014号)

ページ 4 ALOS data 利用事例集 20081.はじめに インターネットポータルサイト Yahoo! JAPAN は、ニュースなど各種コンテンツ、ブログなどのソーシャル系、オークションなどのコマース系など、様々なサービスを展開している。 Yahoo! 地図は、1998 年 4 月にサービスを開始以来、2008年に10年目を迎え、約1,900万の月間ユニークカスタマーが利用する日本国内で一番利用される無料のWEB地図サービスだ。 Yahoo! 地図は、目的地に行き着くための情報を集める機能の提供に加え、常に新しい使い方や楽しみ方を追求している。例えば、昭和 30 年代の地図やクチコミ投稿できる地図など、地図にかかわる新しい価値を提案し続けている。 近年では、衛星・航空写真を使用した「写真地図」に対するユーザーニーズの高まりを受け、2005年よりLANDSAT/IRS 及び航空写真による写真地図サービスを開始し、併せて写真地図へのニーズがどこまであるのか、対価の大きさを含めて次なるサービスの展開を模索していた。2.ALOSデータを採用するまで(1)写真地図への課題 Yahoo!地図は、経年変化情報の多い地図データには「鮮度」が重要と考え、毎日地図を更新する。かつ全国で地域の欠けなく地図を提供する「網羅性」も重視していた。 また、転用を防ぐため、写真地図上に出展元の情報等が表記される電子透かしを使用していたが、透かしなしのきれいな写真地図をユーザーに見せたいとの思いもあった。このように、地図データ上に、多くの情報を集約し、見せ方を最適化してはじめてユーザーに使って頂ける地図サービスが成立するのである。(2)ALOSデータの採用 写真地図の対象エリア拡大及び鮮度の向上、さらに、高い解像度と広い縮尺階層に対応できる衛星写真を探すYahoo! 地図の努力は続けられていた。その間にも社会における写真地図の普及・認知度はより拡がり、ユーザーの反響も大きくなっていった。 そのような状況の中、ALOS による日本のデータ取得が進み、Yahoo! 地図の要求「網羅性」に応えられるレベルに達していた。もうひとつの「鮮度」についても、ALOS は毎日地表のデータを取得していることからクリアされた。このほか、解像度とコストパフォーマンス、画像使用に当たって電子透かし文字を不要とすることを合意できたことなどから、ALOSの採用が決まった。3.Yahoo!地図のリニューアルまで (1)写真地図の実装 当初 Yahoo! 地図へ提供された ALOS データは、日本列島のパンシャープン画像及びパンシャープン画像が揃わない地域を補完する形でのAVNIR-2画像であった。1)パンシャープンデータ AVNIR-2 と PRISM により取得された直下同時観測画像を、パンシャープン加工の上、更にオルソライト処理したもの・シーン単位(35km×35km) 2.5m解像度 ・日本列島全域をカバーするためには約 1000 シーンを要する。(離島を含む)2)AVNIR-2データ・AVNIR-2 により取得された直下観測画像をオルソライト処理したもの・シーン単位(70km×70km)10m解像度 ・日本列島全域をカバーするためには約 400 シーンを要する(離島を含む) Yahoo! 地図は、これら ALOS データを実装するに当たり、鮮度の高い衛星写真のインパクトを最大限に発揮するため、ALOS データを実装して公開するまでのスピードを最優先とした。Yahoo! 地図は少しでも新鮮な画像をユーザーに届けることに挑戦したのである。(2)10年目のリニューアル Yahoo!地図サービス開始10年目を迎えた2008年6月、Yahoo! 地図における ALOS データ利用ヤフー株式会社 地域サービス事業部PM 室 Yahoo! 地図・路線担当 来田 宣之衛星写真に鮮度と網羅性を追求

ページ 5 ユーザーへのリサーチなどを実施し要望が寄せられた内容を中心に、「優しい」をキーワードにリニューアルが行われた。「優しい」とは、「ユーザーが Yahoo! 地図をますますわかりやすく、簡単に、すばやくご利用していただきたい」という思いを込めたものある。インターフェースデザインを一新し、ユーザビリティを向上させ、簡単で便利に使える機能を実装した。その一環で地図サービスでトレンドな写真地図も ALOS データを実装するなど、ボリュームアップを実施。リニューアルポイントは以下となる。1)「行ける地図」として最寄駅からのルート機能などを充実 地図の多くの利用は、「行く」目的地を確認した後は周辺の最寄駅を探すという行動に移る。、最寄駅からのルート機能と 2 点間の道案内機能を充実させ、優しく道案内する。2)「探せる地図」 周辺の豊富な情報を簡単に探せる機能が充実 130 種類以上の実用カテゴリを新設し、周辺のお店や施設が簡単に探せる。周辺検索で入手できる情報は Yahoo! JAPAN の 24 のサービスと倍増し、情報量は約620万件。各サービスの新鮮な専門情報を、地図を基点にお届けする。3)はじめてのひとにも優しい  地図データが毎日更新しているので新鮮。すぐに新スポットも確認できる。使い方ガイドも充実。4)小中学生にも優しい  Yahoo! 地図トップページには、日本語表記の世界地図を収録し、国名カテゴリやクリッカブルマップでより簡単に探せる。学習時にも有効だ。5)ブログユーザーにも優しい  簡単に地図をブログに貼り付けたいというニーズにこたえた「貼り付け地図機能」も実装。6)写真地図好きなひとにも優しい  ALOS データを実装するなど写真地図もボリュームアップし、縮尺階層も従来比 2 倍へ拡大することができ好みの縮尺で見ることができる。 縮尺レベル データ・世界 Yahoo!incの衛星写真・全国 Yahoo!incの衛星写真・県 ALOS衛星写真・市 ALOS衛星写真・町 ALOS衛星写真・丁目 航空写真3社組合せ(3)ユーザーの反響 Yahoo! JAPANの調査では、写真地図の優位性として、「地図だけより現地を想像しやすい」という要素以外にも「暇つぶしになる、使っていて楽しい」というエンタテイメント性に高い反響があることが確認されている。 リアル性を追求したサービスとして写真地図を実施した結果、エンタテイメント性も向上したことは、過去のポケベルのケースのように、新しいデバイスやプラットフォームを提供されたユーザー自ら利用の幅を広げた実例と言える。4.今後への期待 Yahoo! 地図は、地球・世界規模での最新情報をユーザーと共有したいと考える。地球からは見えない画像が見える点が衛星写真の大きな特徴であり、航空管制が厳しい海外でさらに効果を発揮する。Yahoo! 地図のユーザーが見たいときに世界中で見られるサービスを ALOSデータを使って実現し、また衛星写真を通じて地球にもっと関心を持ち、環境保護などエコ社会へ意識を高めたいと考える。▪Yahoo!地図  http://map.yahoo.co.jp図1 Yahoo!地図におけるALOS画像使用図2 ワイワイマップ   地図を使用したコミュニティーサービス

ページ 6 ALOS data 利用事例集 20081.はじめに・経緯(1)JALホームページ「JAL MAP」について JAL ホームページ「JAL MAP」とは、日本航空が自社の公式サイトにおいて海外旅行者のために 2007 年 3 月より提供している、他に例を見ないオリジナルサービスである。その主たる特徴は以下のとおり。❖街歩きに便利な、見やすい地図❖現地で買い物・食事を楽しむための店舗情報❖ホテル・レストランのオンライン予約 かかる充実のサービスを、世界の主要 40 都市以上について、すべて無償かつ日本語で、インターネット上で利用できるとあって、「JAL MAP」はユーザーから大好評を博している。 また 2007 年には、その “ 機能・性能のよさ ”、“ 生活者のニーズに応えている ”、“ 新しい売り方、提供の仕方を実現している ” 等の点が評価され、本邦で唯一の総合的デザイン評価・推奨の仕組み「グッドデザイン賞」を、運輸業界のWEBサイトとして初めて受賞している。(2)ALOSデータを活用するに至った経緯 「JAL MAP」は海外旅行を計画中のユーザーを想定して考案された。サービス開始後、多数寄せられたユーザーの声を読むと、そのニーズを満たすという所期の目的は十分に達せられたことが分かったが、同時に、具体的な海外旅行の予定はないものの、自宅にいながらにして海外旅行気分に味わいたい、或いは、かつての旅行の足跡をたどって思い出に浸りたい、こういったケースでの利用が多いことが判明した。このような利用者は「JAL MAP」の実用的な側面も然ることながら、それが醸し出す海外旅行を想起させる情緒的側面、すなわち雰囲気に魅力を強く感じていた。 こうした利用者を増やすことは潜在的な海外旅行需要の喚起に直結することから、「JAL MAP」の情緒的訴求度を更に高めるべく、その具体的な手法が模索されていた時、「JAL MAP」に ALOS データを活用することを検討したところ、ALOS データが「JAL MAP」の情緒的訴求力を高めるのに相応しいものであったことから、ほぼ即決でALOSデータを採用することとなった。2.ALOSデータを活用するにあたって(1)活用したALOSデータ 「JAL MAP」に組み込んだ ALOS データは、ALOS が高度 700 キロメートルより撮影した、「JAL MAP」各都市市街地のデータ画像そのものである。(2)ALOSデータの組み込み方法 ALOS データ組み込み後の「JAL MAP」では、「衛星写真切り替えボタン」が新たに設けられた。ユーザーがこのボタンをクリックすると、それまで地図を表示していた「JAL MAP」の画面が一瞬にして、まったく同じ位置のALOSデータ画像に切り替わる。(3)ALOSデータを組み込む上でのハードル ALOS データを「JAL MAP」に組み込む上で、問題となったのが、地図の歪みとデータの重さである。 「JAL MAP」の特徴の一つは先に述べたとおり、その地図の見やすさにあるが、これには隠れた工夫があって、実はこの地図、見やすさ優先で若干ではあるがデフォルメされている。その歪められた地図に実像そのままの衛星写真を重ね合わせてみると、どうにもズレが生じてしまう。地図の歪みを矯正してしまっては、見やすさを損ねることになり、元も子もない。そこで採られた解決策は、もっともズレが目立たないような具合に地図を重ね合わせる、というものであったが、ALOS データを組み込む地図の枚数は 30 枚以上である。その一枚一枚において、ここぞ、という重ね具合の位置を決めるのが気のJAL ホームページ「JAL MAP」におけるALOS データ活用について株式会社日本航空インターナショナルWEB 販売室 伊沢 美昭衛星画像から海外旅行の情緒を想起

ページ 7 遠くなるような作業であったことは、想像に難くないことであろう。 もう一点のデータの重さであるが、インターネット上のサービスの使いやすさを決定づける重要な要素の一つが、どれだけ動作を軽快に保てるか、という点にある。機能は充実しているが動作が鈍い、というようでは、ユーザーを惹きつけることは適わない。ALOS データは高精度であるがゆえにデータサイズは大きく、それだけ重いデータを、動作の軽快さを損ねないように組み込むことも、簡単にできることではなかった。 幸いなことに、この二つの大きな難題は、「JAL MAP」のシステム開発を担う㈱野村総合研究所、㈱デジタルドリームの両社によって、その高い技術力と妥協をよしとしない情熱をもって、短期間に見事なまでに解決された。 インターネットサービスを成功させるには、よく練られた企画とともに、その企画を現実のものにするシステム開発が必須となる。このたびのALOSデータの活用も、上記両社の尽力なくしては現実のものとなり得なかったことを、ここに強調したい。(4)ALOSデータ組み込みの効果 ALOS データを組み込んだ「JAL MAP」のテスト版を社内の関係者に見せたところ、一様に感嘆の声があがった。特に、最もご利用の多いホノルルでは、観光名所として名高い “ ダイアモンドヘッド ” の全貌を、通常では絶対に目にすることのない上空からの視点で見ることができ、面白いと絶賛された。 また、実際の衛星撮影画像なので、その一部が雲や大きな建造物の影で隠れてしまっていることが組み込み時に懸念されたが、それがかえって、実際に衛星高度から地表を見下ろしているのだという臨場感をもたらしてよい、と評価される嬉しい誤算もあった。前評判は上々で9月24日の一般公開が待ち遠しく感じられた。3.「JAL MAP」リリース 2008 年 9 月 24 日、ALOS デ ー タ 組 み 込 ん だ「JAL MAP」が一般公開された。ユーザーの反応は上々で、早々に「楽しい」「よくやった」といった声が寄せられており、10 月上旬の「JAL MAP」利用者数は従来よりも約1 割増えるという結果を得ることもできた。このようにALOS データ組み込みによって、「JAL MAP」の魅力は確実に向上することができた。▪JAL MAP http://www.jal.co.jp/jalmap/図1 JAL MAP_ALOS画像版図2 JAL MAP_地図版

ページ 8 ALOS data 利用事例集 20081.はじめに 情報化社会の本質は、サイバースペース(実空間と区別されたコンピュータのネットワークが生み出す仮想空間、デジタルワールド)が、リアルワールド(実際の世界、経済・生活・産業・環境)の先導的な役割を果たすことであり、いかに実物世界の情報を欠落させることなくサイバースペースを構築するかが重要な課題である。さらに膨大な地理空間情報を取り扱い、多解像度で、3 次元や時系列の地球を表現することが可能なツールが求められている。サイバースペースを、デジタル化された地理空間情報に基づいて構築することによって、実空間から仮想空間への正確な写像が可能になり、様々な自然現象や社会経済活動などを仮想空間上に可視化できる。 このように地理空間情報を高度に活用することによって、再構築されるサイバースペースのことを「デジタルアース」と呼んでいる。2.デジタルアースにおけるALOSの利用(1)ALOSの最新利用動向 デジタルアースにおけるALOSの最新利用動向として、センチネル・アジアプロジェクトを代表例とするリアルタイム運用及び社会的実利用が挙げられる。(2)空間情報整備・利用の動向 空間情報整備・利用の動向は以下が挙げられる。1)NSDI(空間情報基盤)2)Google Map/Earth等のGeobrowserのインパクト3)GEOSS、相互運用・データ統合:オントロジー、WMS、Sensor-Web4)Web2.0 Where2.0 、参加型GISALOS 利用最新動向と今後の展望~ Digital Earth のメインコンテンツとして~慶應義塾大学グローバルセキュリティ研究所/総合政策学部福井 弘道ALOS で地球の危機管理を図1 センチネル・アジアのスキーム図2 被災地画像を掲載(センチネル・アジア)図3 WebGISにおけるALOS利用

ページ 9 (3)地球の危機管理への応用 ALOS は空間情報におけるメインコンテンツとして十分に力を発揮する。今後の展望・宇宙戦略として、地球規模での環境の変化や甚大な被害が発生する大災害など、地球の変化を把握し人間社会への影響を予測する「地球の危機管理」への応用が期待される。3.今後の展望(1)次世代デジタルアースのビジョン デジタルアース構想から 10 年が経つ現在、次世代デジタルアースへのビジョンを以下の通り整理した。1)異なる利用者のニーズに合致した多様な地球データベース、空間情報基盤の集合体であること2)環境や健康といった問題志向型であること写真1 四川大地震による被災地図4 Imja Glacial Lake in Himalayan Range( SRTM + ALOS )3)時空間的な類似や相違の発見を可能にすること4)データや情報、モデルやサービスだけでなく、将来のシナリオや予測にアクセスが可能であること(2)ALOSの今後の展望 地球環境問題を人類の課題や自分の行動に関係する問題として考えるための共通情報基盤は重要である。ALOS などをコアコンテンツとして、分散して存在する多様な組織の環境情報を相互運用することにより、地球環境情報のワンストップポータルサイトを構築し、情報の集積と流通市場を提供することができる。 また気候変動や災害などに対応するために、衛星監視の拡大発展は不可欠であり、現在 ALOS を主要観測手段としているセンチネルアジアも拡充すべきである。宇宙利用の産業化の促進、国際救急支援情報基地の設立など、社会的に実効ある活動を主導すべきである。図5 デジタルアースとは

ページ 10 10ALOS data 利用事例集 2008ALOS PRISM 三方向視を使った DEM の作成Geoimage Pty LtdBob Walker1.はじめに オーストラリアのような広大な国土における地図作成においては、衛星光学センサによる観測画像に依っている。これまでは、LANDSAT、SPOT、ASTER などを使用してきたが、2006 年からは特に ALOS データを使用している。 Geoimage 社は、鉱業分野を得意とする衛星データ等の処理及び提供を行うオーストラリアの企業である。最近はオーストラリア政府や国内産業に対し ALOS データの画像処理サービスを実施しており、その取り組みについて紹介する。2.MULGA 鉱床 -GUNBARRELプロジェクト 資源採掘企業EMA(Energy and Minerals Australia)は、西オーストラリア Kalgoorlie の北西 250Km に位置するMulga 鉱床において資源採掘を行っている。この鉱床には、世界的規模のウラニウムのほか、ニッケル、コバルトや金を含む様々な金属の埋蔵についても期待がもたれている。Mulga 鉱床に隣接した複数の地域においては、資源採掘の初期段階にあり、Gunbarrel プロジェクトもそのひとつである。 Gunbarrel プロジェクトの対象地域は、約 40km ×60km とし、年間降水量が 250 ~ 300mm の乾燥した地域である。プラヤ湖がある他は砂丘や低木が地表を覆い、人家や農地もなく、過去に開拓団が敷いた砂利道があるだけの荒野である。この一帯における公的な地図は、1960 年代において作成された 20m 等高線を含む1/100,000スケールの地図を唯一とする。 EMA 社からの要求は、この地域における 5m メッシュの地形図及び水文を解明するための DEM 作成であった。なお、この地域の標高は360mから500mである。3.ALOS画像処理(1)パンシャープン画像の作成 Gunbarrel プロジェクト対象地域を 2007 年 12 月に観 測 し た ALOS/PRISM 及 び AVNIR-2 デ ー タ( 処 理 レベル 1B2R)を用いてパンシャープン画像を作成した。ソ フ ト ウ ェ ア PCI Geomatica 、LANDSAT デ ー タ セ ット「Geocover2000」のパンクロ及び SRTM2 の DEM を用いて、PRISM 直下視及び AVNIR-2 データについてオルソ補正を行った。それらオルソ済み画像を合成し、1:15,000 スケールまで拡大可能なパンシャープン画像を作成した。(2)DEMの作成 DEM作成にあたっては、同じくPCI Geomaticaを使用し、水平方向の基準点としてオルソ補正済み PRISM 直下視データ、高さ方向の基準点として 10m リサンプリング SRTM2 データを使用した。DEM は後方視・直下視及び前方視・直下視の 2 つのステレオペア画像を用いてエピポーラ処理を経て作成された。後方視及び前方視の図 1 EMA 社の開発地域資源発掘において ALOS を活用する図2 パンシャープン画像

ページ 11 11ステレオペア画像からは DEM を作成することができなかった。エピポーラ処理においてノイズが発生したが、フィルタリングによっておおよそ取り除くことができた。その後、ジオコーデッドによる地図投影を行い、雲などによる影響を取り除く平均化処理を行った。輝度の高いプラヤ湖についても、湖面の反射によるマッチングミスが生じたため平均化処理を行った。以上の処理により、2m 等高線として用いられる 5m 解像度の DEM を作成することができた。4.ALOSデータの利点と欠点 ALOSデータの利点と欠点を下記に記す。【利点】(1)最新のデータが利用できる。(2)ALOS と同程度の解像度のデータと比較するとコストが1/2から1/3に抑えられる。(3)同一軌道内で観測される PRISM のステレオ画像は相関が高く、良好なDEMを得ることができる。(4)PRISM 直 下 視 画 像 及 び AVNIR-2 の 画 像 に つ い てSRTM の DEM によるオルソ補正を行うことにより、優れたパンシャープン画像を作成することができる。【欠点】(1)PRISM に JPEG 圧 縮 に よ る ノ イ ズ が 生 じ る がGaussian filterによって軽減できる。(2)エピポーラ処理においてノイズが生じるがフィルタリングによって軽減できる。5. 顧客からの反響 オーストラリア Barrick Gold 社が実施するパキスタンの Reko Diq 鉱床については、ALOS/PRISM データ 4シーンと同社から提供された対象地域の GCP を使用しDEM を作成した。以下は、同社からの DEM についてのレポート抜粋である。 「PRISM DEM の鉛直精度を検証するため、ドリルカラー(注:採掘の際に使用する鋼管)の高さを使い比較を行った。この結果ドリルホール 539 のうち 534 について PRISM DEM との偏差が 5m 以下であった。また、PRISM DEM とドリルホールの最大偏差は 35m であり、平均偏差は 0.13 mであった。DEM との偏差が 30m 以上となる 2 つのドリルホールについては、確認する必要がある。 なお、衛星画像中にはドリルカラーは表れないため、その高さはオルソ補正されていない。」6.今後の展開 Geoimage 社の顧客の多くは荒野など隔絶された地域で採掘を行っている。そのような地域では、良好な地上基準点を入手できず、SRTM の DEM を最良の DEM として使用せざるを得ない。そのような状況下では、ALOS DEMの相対精度5mは非常に有益である。 新たに取得した地上基準点と ALOS DEM との間に誤差がある場合でも、バイアスとシフトをかけることにより、より正確なDEMを作成することができる。資料提供 Chris Davis氏(EMA社)及びKaren Pittard氏(Barrick Gold社)注) 原文は英語図4  Barrick Gold社からのDEM精度評価図3 ALOS/PRISMから作成されたDEM

ページ 12 1ALOS data 利用事例集 20081.はじめに 中国の江蘇省南通市計画規劃編制研究センターは、都市計画の策定や計画管理に係る情報化、基準作成を主要業務としており、当該業務を実施する上で、データの標準化及びGISの利用に取り組んでいる。 また、PASCO China Corporation は、衛星データ利用、GIS 開発及びソリューション提案等を主要業務としており、更に、日本と中国との間の技術交流にも注力している。防災分野及び GIS 利用に係るソリューションの提案についても注力していることのひとつである。 策定される都市計画は、都市の将来的な発展、区画の整理及び新規建設の総合的な管理を実施し、都市建設と管理の根底となるものである。近年、中国における都市化は著しく進展し、都市計画に関連する情報も多様化してきている。また、リモセン技術の導入により、空間データの収集も簡便かつ迅速に実施できるようになってきている。特に、ALOS データの高い品質と廉価な価格設定は市場に認識され、都市計画分野で活用が進んでいる。2.ALOSデータを利用するにあたって 都市計画策定分野において衛星データを利用する際、高分解能画像としての「輪郭情報」と「色情報」双方重要であるため、ALOS の PRISM と AVNIR-2 によりパンシャープン画像を作成し、都市計画の基盤図作成に用いている。パンシャープンデータを作成する際、十分に都市計画の特徴と利用用途を考慮することで、採用する手法や色彩の調整に工夫を施した。特に、広域データをモザイクする際、異なる時期に観測された隣接する画像の色調補正は多大な労力を要するため、より効率的な手法を検討・採用している。具体的には、ドイツの汎用ソフトウエアである「Ortho Vista」を利用し、手動での調整を加え、効果的な全体図を作成した。3.ALOSデータを利用した事例 作成されるALOSの2.5mパンシャープン画像は、河川、道路、緑地という基礎的な地物のみならず、より詳細な家屋、橋梁までを鮮明に表現できるため、都市計画策定の各段階において大きな役目を果たした。以下にその概要を示す。(1)都市のマクロ計画 ALOS データにより、この段階において必要となる道路、河川、緑地の基本情報を十分な精度で抽出でき、主要情報源として利用可能となっている。(2)市町村レベルでの計画と都市全体計画 この段階では水域、緑地、工業用地、農村住宅地などの情報が必要となるが、ALOS データによる識別・分類能力は十分満足のいくレベルとなっている。ALOS 衛星データ都市計画分野への応用江蘇省南通市計画規劃編制研究センター 孟堅定、黄萍PASCO China Corporation         張暁兵、沈萍中国における ALOS データ利用図1 都市のパンシャープン画像例Included©JAXA

ページ 13 1(3)区画計画及び詳細計画 この段階では、道路及び建造物の輪郭情報まで要求されるが、ALOSデータが参考情報として利用可能である。(4)新規建設レッドライン 新規建設レッドラインとは、新規道路、建築物、その他新規用地などを含む情報である。本来では 1:500 という大縮尺のベクトルデータに基づいて作成するが、データの更新頻度が低いため、実施計画の審査に影響しているという状況がある。そこで、ALOS データを当該ベクトルデータの補完情報として現地調査結果と総合的に利用することで、より高頻度に情報が把握可能である。(5)建設用地定期計測 建設用地定期計測とは、無審査の違法建設及び許可された期間内に実施されていない建設を監視するための手段として用いられる。具体的には、ALOS データにより建設用地の変化地域を抽出することで、違法な建設を抽出する。これにより、土地利用管理の強化が可能となる。(6)主題図の作成 ALOS の 2.5m パンシャープン画像は各種計画図の主要情報源もしくは保管情報源として用いられる以外にも、各種ベクトルデータ(道路、河川、区画図等)と重ね合わせることにより、主題図(都市計画市域図、緑地分布図、建設用地図等)を作成することも可能である。これらの主題図は情報量が豊富であるほか、高い表現力を誇ることから、利用者における直観的な理解に繋がるという利点があることが特徴である。4.まとめ ALOS の 2.5m パンシャープン画像は、道路、河川、緑地等の大きな地物から、家屋等小さな地物まで識別できることにより、都市計画策定分野において充分に活用可能である。特に、道路、河川、緑地範囲等に関しては、都市計画における主要情報源として活用される。また、家屋など一般地物は区画計画などの詳細計画の参考情報として利用可能である。他方、各種ベクトルデータと重ね合わせた主題図の情報量と表現能力も高く評価されている。 このように、性能(品質)と価格のバランスの良いALOS データを利用することにより、都市計画の情報を更新する際の実施周期も短縮することが出来、コストダウンも実現した。今後もこのような利用は進むと考える。図4 緑地の主題図例図2 他情報(ベクトル情報)との重合せ例図3 パンシャープン画像(拡大)Included©JAXAIncluded©JAXAIncluded©JAXA

ページ 14 1ALOS data 利用事例集 20081.はじめに、目的 政府が国土を管理する上で、また、様々な社会経済活動が営まれる上で、国土の現状を正確に把握した地図は不可欠である。国土交通省国土地理院(以下、「地理院」と言う。)は、日々、地形や地物の変化を把握し、その情報を基本図等に表現し提供している。これらは、官民で作成される様々な地図にも利用されている。 地理院が整備する様々な縮尺の地図のうち、2 万 5 千分 1 地形図は、我が国全体をカバーする最大縮尺の地図であり、国の基本図として活用されている。この 2 万 5千分1地形図を作成するためALOSデータを利用した。2.ALOSデータを利用するにあたって(1)位置精度の向上 地図を作成するため、特に国の責任において作成される地図については、正確な位置の情報が不可欠であり、それらは一般的に現地測量や航空機から取得された写真から求められてきた。 地図作成に ALOS を使用するにあたっても、同様に高い位置精度が要求されることから、地理院では ALOS を運用する JAXA における ALOS の位置精度向上の取り組みのため、JAXA への地上基準点(GCP)の提供や画像の評価・検証などを実施してきた。その結果、ALOS の位置精度は向上し、2008 年 3 月現在において水平方向(直下視、GCP あり)3m という高い精度の結果を得ることができた。(2)RPCファイルによる位置合わせ 地図作成に必要な地形・地物の 3 次元の位置情報は、例えば、航空写真の場合、同じ場所を撮影した 2 枚の写真の写り方の違いにより求められる。ALOS の場合も同様に、2 ~ 3 方向から観測する PRISM センサから取得された画像を図化機(ソフトウェア)を用いて立体視を行い、画像上の地形・地物を描画(図化)することにより、地図を作成するための位置情報を求めることができる。 衛星写真からの図化の結果を地図にするために必要な衛星画像と地上座標の位置合わせは、一般的に RPC(Rational Polynomial Coefficients)と呼ばれるモデルを利用して行う。RPC モデルは、画像座標と地上座標の関係を高精度に近似した有理多項式で表現したものであり、衛星画像毎に最適なパラメータを与えることより画像座標と地上座標の相互変換が可能となる。 これらのパラメータを記述した「RPC ファイル」は、多くの図化機で位置合わせの方法として採用され、軌道情報などの設定や基準点を用いた手動での位置合わせは不要(高精度なものを求めない場合)であることから、作業者は画像とセットで購入する RPC ファイルを図化機に読みこむだけで、位置合わせの工程を容易に行うことができる。 ALOS/RPC については、2007 年から 2008 年にかけて主要な市販の図化機が次々と対応し、地図作成のみならず、標高データ作成やステレオ視による地形解析など立体的モデルを構築することが可能となり、ALOS の利用分野がさらに拡大するとことが期待される。(3)RPCファイルの適用性の検証 ALOS 画 像 を 地 理 院 の 地 図 作 成 に 利 用 す る た め、地図作成における ALOS 利用国土交通省国土地理院測図部 測図技術開発室 南 秀和ALOS/RPC ファイルを地図作成に利用写真1 図化機による立体視

ページ 15 1ALOS/RPC を利用した図化のための精度検証を行った。その結果、標高点の取得については基準を満たさなかったものの、水平位置描画及び等高線描画については、GCP での補正を踏まえることを条件に、共に地理院の 2万 5 千分 1 地形図の作成基準をクリアすることが可能であることが確認された。このように地図作成ための 3 次元の位置取得について、ALOS/PRISM 及び RPC ファイルの有効性が確認された。3.地図作成におけるALOS利用 位置精度の向上及び RPC ファイルの活用により、国の基本図である 2 万 5 千分 1 地形図修正に今後も ALOS画像の利用が期待される。 ALOS画像は、航空写真に比べて解像度は低いものの、1 シーンに広い範囲が含まれ、また歪みの少ない画像を高頻度で入手できるため、大規模建物等の修正等に有効であり、航空写真と相互に補完しあうことで、迅速で効率的な地形図の作成・修正に寄与することが期待される。 更に、離島や南極等の空中写真撮影が困難な地域においては、衛星画像の特徴を十分に活かすことが期待され、平成 19 年度には、「硫黄島」の 25 年ぶりの地形図修正や、これまで困難であった「竹島」の地形図作成のための高精度の位置決定が ALOS 画像を利用して行われた。4.今後の展開 現在、全国各地の ALOS 画像のアーカイブを整理し、内部 Web において地形図データと重ね合わせることを目的としたシステム構築や、二時期の ALOS 画像から経年変化を自動抽出する技術の開発を試行的に行うなど、地図修正をより効率的かつ速やかに行うための取り組みを行っている。 ALOS 画像について RPC ファイルが提供され、多くの図化機において利用可能になったことは、地図作成への衛星画像の利用が一般的に普及する道筋の第一歩である。今後も地図作成における ALOS の適用性の検証・確認を継続して行うにあたり、高精度の 3 次元位置情報取得を常時可能とする PRISM の運用及び地上位置が容易に求められるRPCファイルの提供を期待する。図2 竹島の地図(2万5千分1地形図「西村」の一部)及び位置精度確保に使用したALOS画像の撮影方法図3 Web上での地形図データとの重ね合わせによる変化抽出の試み図1 25年ぶりに修正された硫黄島の地図©JAXA

ページ 16 1ALOS data 利用事例集 2008座標的な©JAXA©JAXA誤差位置補正前位置補正後0100300m2001.はじめに、目的 株式会社アルファ水工コンサルタンツは、「沿岸域」に関する調査・解析・計画・設計などを専門とするコンサルタント企業である。このたび北海道建設部からの委託により実施した海岸侵食対策事業において ALOS データを利用した。 海岸侵食対策事業への計画立案・実施には広域的な土砂収支を念頭においた検討が必要であり、基礎的な資料として、沿岸の汀線変化状況を客観的に把握することが重要である。 北海道では、これまで約 10 年毎に沿岸の空中写真を撮影し、侵食状況の調査・解析を行ってきたが、全沿岸約 3,000km の空中写真撮影および解析には莫大な労力と費用が必要であることから、これに代わる低コストで簡便な手法の導入が求められていた。 このような状況を踏まえ、これまでの空中写真に代わる画像として、ALOS の光学センサデータを利用して最新の汀線位置をベクトルデータ化し、併せて同様に数値データ化した既往の空中写真の汀線位置を GIS 上で比較することを試みた。2.ALOSデータを利用するにあたって ALOS は、約 8 回 / 年の撮像頻度で画像を取得し、そしてその全てをアーカイブするため、従来の空中写真や他の商用衛星と比べて利用価値が高い。ALOS 画像については、主目的である汀線変化解析に PRISM 画像を使用することは勿論のこと、パンシャープン画像も GIS の背景として使用することとした。 なお、北海道においては、2001 年より GIS データベースである「海岸総合管理システム」の構築を進め、2008 年までに北海道全沿岸域のデータ整備を完了している。今般の汀線の変化状況解析に際しては、外部データファイルとして空中写真及び衛星画像を追加し、更にそれら画像を基にした汀線位置のベクトルデータを管理できるよう当該システムに対して機能付加を行った。3.ALOSデータを利用した事例 入手した ALOS データは GeoTiff 形式であったため、通常使用している GIS ソフトウエアにて直接取り込むことが可能である。しかし、そのままでは数メートルから数 10 メートルの誤差(位置ずれ)があることから、空間的な補正を行う必要があった。そのため、海岸総合管理システムに入力されている海岸保全施設データ(誤差数センチメートル)を地上基準点として利用することで、精密な位置の補正を実施し、汀線のベクトルデータ化を実施した。海岸線の変化を ALOS で把握するALOS データを利用した汀線変化状況の解析株式会社アルファ水工コンサルタンツ技術部  見上 敏文、小宮山佳世図1 位置補正の実施

ページ 17 119471980199920071947 Aerial photo 1980 Aerial photo1999 Aerial photo2007 ALOS©JAXA©JAXADec.26,2007 Aug.07,2007 ©JAXA©JAXA 汀線のベクトルデータ化の手法としては、既往の研究では画像の解析により汀線の位置を特定することも提案されているものの、空中写真は勿論のこと、2.5m 解像度の ALOS 画像についても人間が GIS 上で画像を判読しながらトレースする方法が、精度及び作業効率の面で優位であると判断した。4.汀線変化解析手法 汀線変化状況解析システムでは、GIS 上でライブラリ化した ALOS から作成したものを含む汀線のベクトルデータから、個々の地区海岸を最小単位として汀線変化量の算定を自動的に行っている。 この際、地区海岸毎に計算のための仮想的な基準線を設定し、この基準線からの垂線と各汀線の交差する点をGIS 上で空間的に検索し、その座標から汀線変化量、海浜面積変化量の算定を行った。5.終わりに、今後の展開 空中写真及び ALOS データによる海岸線の侵食状況及び汀線変化の解析を、簡便に行うことが可能となった。ALOS データについては、従来の空中写真に比べ解像度が若干劣るものの、汀線の変化状況を把握するという目的においては必要十分な精度を持っているといえる。 特に ALOS データはコスト面において、空中写真撮像と比べて数十分の一の費用で画像が得られること、そして、定期的に撮像されることを考慮すると、沿岸域のリモートセンシングデータとして非常に有益な情報であると考える。 今後は ALOS データ等画像情報を定期的に蓄積することで、沿岸の漂砂機構の解明及び広域土砂収支モデル構築の基礎データとして、そして、台風の擾乱直後の状況把握等、災害の現象解明などへの活用にも期待される。図2 ALOSと過去の空中写真画像の比較図3 海岸線変化量の算定図4 台風来襲前後の河口周辺の地形変化

ページ 18 1ALOS data 利用事例集 20081.宅地造成等規制法の改正 平成 7 年の阪神・淡路大震災、平成 16 年の新潟県中越地震などにおいて、大規模に谷を埋めた造成宅地(谷埋め盛り土等)で滑動崩落による被害が多発した。今後も大地震による崖崩れや土砂流出(活動崩落等)の発生が懸念されることから宅地造成等規制法が改正され、都道府県知事等については崖崩れにより多くの危害を及ぼす恐れの大きい造成宅地の区域を造成宅地防災区域と指定し、その区域内の宅地所有者等に対し災害防止のための必要な措置を取ることを勧告、または命ずることができるようになった。 地震による大きな被害が発生する恐れがある都道府県は、危険な盛土を実施しているエリアのハザードマップを作成し、防災区域の指定、水抜きなどの災害防止措置や勧告など災害に対する宅地耐震化の施策を実施することが急務となったのである。2.宅地耐震化推進事業への取り組み(1)より良い住まいを「ベターリビング」 財団法人ベターリビング(以下「BL」と言う)は、住生活水準の向上に資することを目的として、住生活に関する調査研究や技術開発など、住宅に関する広範な事業を展開している。 BL は宅地耐震化推進事業についても積極的に取り組んでおり、静岡県での事例では、ALOS データの利用により県内全域から調査宅地候補地を漏れなく、かつ、効率的に抽出するなど、産学官の知識と情報を集約した調査方法を提案し、実施している。(2)静岡県での実施方法 宅地耐震化推進事業を行うためには、地域に多数存在する大規模盛土造成地の位置と規模を把握する必要があり、これを第1次スクリーニングと称している。 静岡県における第 1 次スクリーニングでは、まず、静岡県地震対策課が調査編集した人工改変地分布図(1994年版、縮尺 5 万分の 1)を活用し、全県の調査対象地域を設定するとともに、調査対象宅地の一次選定に供した。 次に ALOS データのステレオペアを利用してステレオ立体視画像を作成し対象となる切盛土地の位置を抽出した。盛土規模の確認は、地形改変(盛土造成)前の地図と改変後の地図を重ね合わせることで実施した。なお、ALOSデータによる抽出作業はRESTECが実施した。 さらに、ALOS 画像から抽出された候補地から更に絞り込み、評価要件の整理、点数化などによる優先順位付け(第 2 次スクリーニング計画)、設定したサンプルエリアでの第2次スクリーニングでのモデル作業を実施した。静岡県における大規模盛土造成地の変動予測調査への ALOS 利用財団法人ベターリビング つくば建設試験研究センター構造・材料試験部 久世 直哉RESTEC 研究部 古田 竜一ALOS を利用したハザードマップ作成図1 造成宅地における活動崩落図2 宅地耐震化のスキーム

ページ 19 13.ALOSデータを利用した切盛土地の抽出 静岡県第 1 次スクリーニングにおける ALOS データを利用した切盛土地抽出の実施方法は以下の通りである。(1)対象地の判読 ALOS/PRISM 画像のステレオペアからステレオ立体視画像を作成し、対象地の判読を行った。対象地は 4 市を除く静岡県全域であり、周辺地形との高低差を考慮し、対象となる切盛土地の位置、面積、市町村別総数を抽出した。複数の谷にまたがる造成地は輪郭を抽出した。(2)判読に当たっての抽出条件1)小~中規模の建物が密集している。2)1)が丘陵地にある、あるいは丘陵地に接している。3)丘陵に切り取られた形跡がある。周辺地形との地形連続性を有しない。また1)を含む。4)1)を含み、周辺地形と比較して不連続な地形変化が見られる(丘陵に接していない場合)。(3)棄却条件 抽出を効率的に実施するため、棄却の条件も設けた。棄却条件は以下の通り。 1)農耕地、工場、運動場、公園等は棄却する。 2)明らかに自然地形の場合は棄却する。 この結果、図4 ~ 6の結果が得られた。4.まとめ 本作業により県全域において約 8,000 カ所規模に及ぶ調査対象宅地の候補地を抽出することができた。 抽出箇所数と抽出面積との関係においては、抽出対象とした全ての市町において一様に二項分布の様な形状となった。また、抽出面積2,000 ~ 3,000m2にピークを持つ市町が多くみられた。衛星画像を利用した一次スクリーニングは、全体として一様な結果を示した。 広範の地上を高分解能で一度に撮影可能な衛星画像の利用は、航空写真に比べて経済性に優れており、切盛土地の抽出作業が効率的に実施できた。これは、今回利用した ALOS/PRISM センサが一度の観測で立体視用ステレオペアを取得できるためであり、また、地上分解能2.5m の観測能力は、3,000m2以上の切盛土地抽出に十分な能力を有していたためである。 本業務において、一次スクリーニングでの衛星画像利用の有効性が確かめられた。図4 ALOSデータを利用した切盛土地抽出の例(1)図6 対象市町の切盛土地抽出結果図図5 ALOSデータを利用した切盛土地抽出の例(2)図3 ステレオ立体視画像

ページ 20 0ALOS data 利用事例集 20081.はじめに 国土防災技術株式会社(以下「JCE」と言う。)は「土と水と緑に関する優れた技術を追求し、住み良い国土の建設と国民の福祉に貢献する永遠の会社」を目指して、主に山地における土砂災害の予防及び復旧について、調査、計画、設計及び工事を主な業務とする建設コンサルタントである。 JCE 環境保全部では自然環境保全及び生活環境保全に配慮した河川、砂防及び治山等の国土保全業務、その他自然由来の重金属をはじめとした環境対策業務を行いながら、GIS や GPS などを利用したこれら業務に取り組んでいる。2.岩手・宮城内陸地震の発生 平成20年6月14日に発生した「岩手・宮城内陸地震」では広範囲に渡って山腹の崩壊や地すべりなど大規模な複合的土砂災害が発生した。国土交通省によると、決壊すると下流域に大災害を及ぼす危険性の高いものだけで15 箇所もの河道閉塞(天然ダム)が確認され、ポンプ排水などの応急対策がテレビニュースや新聞等でも連日報道された。 JCE ではこの地震により国有林野で発生した土石流、地すべり及び崩壊等の調査を東北森林管理局のもとで実施している。その規模は莫大で、対象とする 5 つの流域で合計面積約 200k㎡、地 す べ り 及 び 崩 壊 箇 所 約4,100 箇所、不安定な土砂が約5,200万m3にもなるものであった。3.被災地を調査 この地震災害の状況を把握するために必要となる空中写真は数百枚にものぼったため、写真の準備から地形判読まで、調査対象箇所の抽出等に相当の時間がかかることが懸念された。また、生活道路や林道などが寸断されるなど地形の大きな変化もあり、崩壊地等の位置測定などポータブルGIS及びGPSの利用も不可欠であった。 そこで、一定範囲を広くとらえ、かつ、迅速に入手できるALOS/AVNIR-2データについて、大規模土砂災害対策における利用可能性を以下の通り検証した。1)崩壊地等の土砂移動現象箇所の抽出2)河道閉塞(閉鎖水域)の抽出3)1)、2)における規模の測定・ポータブル GIS への背景図利用4.ALOSデータを利用するにあたって(1)利用したデータ ALOS データは地震前(平成 18 年 10 月 17 日)、地震後(平成20年7月2日)の2シーンを利用した。土砂災害の状況把握を ALOS で行う大規模・広範囲の土砂災害における ALOS データの利用国土防災技術株式会社 技術本部 環境保全部小川内良人、中澤洋、龍見栄臣図1 使用した地震後のデータ写真1 被災した国有林野

ページ 21 11)センサー   : AVNIR-22)シーンID   : ALAV2A129822820 ALAV2A0388027903)処理レベル  : 1B2R4)リサンプリング: NN5)フォーマット : CEOS6)投影法など  : UTM N54(2)幾何補正 レーザー・プロファイラのデータ準備に時間がかかるため数値地図25000を利用した。1)多項式変換パラメータは最小二乗法 GCP(Ground control points)1000P2)最近隣内挿法による画像再配列(3)使用ソフト1)ERDAS IMAGINE(Leica Geosystems)2)SuperMap Deskpro(日本スーパーマップ㈱)(4)解析内容 画像差分、画像比による崩壊地等抽出5.ALOSデータを利用した事例 対象とする 5 流域について、空中写真から判読した崩壊等地形をGISで整理し、AVNIR-2画像と重ね合わせた。その結果、大きな崩壊等はほとんどカバーされていることが確認されたほか、面積の抽出についても空中写真との面積比較の結果、AVNIR-2データが十分に利用可能であることが確認できた。1)空中写真判読による崩壊地等面積:7.067k㎡2)AVNIR-2 デ ー タ 解 析 に よ る 崩 壊 地 等 面 積:7.734k㎡ シーン間の NDVI 値の差が大きい裸地や水田、画像間にずれのある部分が除去されずに残ることなど課題はあるが、崩壊地等を抽出するという利用目的における精度としての問題はなかった。6.終わりに 広範囲な土砂災害について、状況把握や対策を検討するために空中写真の地形判読等の利用は不可欠である。ALOS データは、廉価であること、撮影シーンがあれば早期に入手可能であり作業着手までの時間が短縮できること、データの軽さからポータブル PC の GIS ソフトでも利用できることも含めて、十分利用可能であることを確認した。悲惨な土砂災害が発生しないことは切に願われるが、今後、同様な機会が生じたときには ALOS データを十分活用していきたい。 また、国有林野のような広大な範囲の林木の管理にともなって、ALOS データの NDVI 解析は非常に有用であると思われる。  な お、 今 回 の ALOS デ ー タ を 解 析 し た 画 像 は、GoogleEarth でオーバーレイできるよう KML ファイルを作成し、JCE ホームページで公開している。地震前の平成 18 年 10 月 17 日に撮影された AVNIR-2 画像は紅葉が北から南に向かう水平分布もさることながら、里から山頂へ向かう垂直分布が非常に良く表現され、美しい日本の四季を示す画像となっている。このように春には新緑、冬には積雪など四季の移り変わりを週単位程度で利用できれば、例えば観光産業などでの利用価値も高まるのではないかと思われる。図3 地震前のデータ利用例図2 崩壊箇所の重ね合わせ図赤:AVNIR-2、青:空中写真判読結果

ページ 22 ALOS data 利用事例集 2008開発途上国に安心・安全をもたらすベトナムにおける洪水監視システム構築への取り組みRESTEC利用推進部 小野 誠写真 2 水位記録装置写真 1 現地の水位観測所図 1 実証実験の流れの浸水状況を迅速に、且つ、面的に把握することが出来ればと、切実に考えていたのである。 そこで、RESTEC としては、独立行政法人日本貿易振興機構(JETRO)の支援による実証実験として、ALOSを利用した当該地域において被害状況を迅速に提供するシステムの構築を試行することとなった。2.ALOSデータを利用するにあたって 通常の災害被害把握においては光学・SAR 双方を活用し、より頻度高く対象地域を観測することとなる。しかし、メコンデルタは東西 200km 以上に亘る広大な地域であり、また、東南アジアに位置するベトナムは被雲率が高いことから、これまでとは異なる手法を採用する必要があった。かつ、現地はネットワーク環境が脆弱であり、日本のように衛星画像をそのままネットワークを通じて提供することは不可能な状況であった。 他方、メコン川のような広大な流域面積を誇る巨大河川における洪水は、日本のような “ 急流河川 ” における洪水とは異なり、数日単位で状況が変化するという特徴もあった。 そのため、「悪天候時」に「広域」を「高頻度」で観1.はじめに、目的 RESTEC においては、衛星データの活用を通じた国際協力の推進を実施している。その中でも、近年では主にALOS のデータを活用した環境・防災・地図作成等社会システムの構築業務を実施している。 その中の一つとして、毎年決まった時期に発生し、周辺地域に多大な人的・経済的被害を与えるベトナム・メコン川河口(メコンデルタ地域)の洪水について、現地防災関係機関から「衛星データを活用した状況把握が出来ないか」との要望を受けていた。 現地では、洪水が発生した際、「どの地域で」「どのくらいの深さまで浸水しているのか」との情報は、洪水が終わった後の調査で確認するしかない。そのため、現在

ページ 23 測できる PALSAR の ScanSAR データを基に、画像の処理は日本で実施した上で、その解析結果と必要なテキスト情報のみを「WebGIS」を通じて現地に送信するシステムを考案した。  ま た、 末 端 の 機 関 に ま で 情 報 を 配 信 す る た め、WebGIS のみならず、FAX 及び携帯電話のショートメール(SMS)にも情報を配信することとした。3.ALOSデータを利用した事例 2006 年の 9 月末から 10 月半ばまでの間、約 1 週間おきに計3回の観測を実施した。 それら観測後から情報提供までの作業に際しては、提供までの時間を短縮するため、可能な限り手順を定型化した。特に、画像の解析にあたっては、対象地域をカバーする緯度経度を基本としたテンプレートを作成することにより、入手した ScanSAR 画像を GIS 上に畳重しつつ、更に、FAX送信原稿を作成することに成功した。 その際、PALSARのScanSAR画像は、ノイズが少なく、とてもクリアーであったため、水域の判別が非常に容易であった。 唯一想定外であったことは、WebGIS として情報を配信しても、画像を“見る”のに多くの時間を要する地域(機関)があったことである。それほどまでにインターネットの回線が細いということなのだが、急遽河川幅情報のCSV でのダウンロード機能を追加することで、現地機関の満足度を高めることに成功した。4.終わりに、今後の展開 本実証実験においては、12 時間以内の情報提供とい写真 3 情報を取得している現地機関職員図 3 WebGIS 画面例項  目第 1 回第 2 回第 3 回情報抽出ポイント49/5028/5050/50観  測10:3010:3010:30データの入手(於:RESTEC)11:3011:3011:30解析終了12:3012:3012:30サーバへの UP13:2014:0014:20情報提供13:30(SMS)13:30(FAX)14:30(SMS)15:00(FAX)15:00(SMS)15:15(FAX)― 情報配信までに要した時間 ―図 2 観測した ScanSAR 画像う目標を大幅に短縮する、大変良好な結果(3 ~ 5時間)を得ることが出来た。この結果に、現地の機関も大変驚き、そして喜んだことは言うまでもない。そのため、現在現地では、当該システムを実現すべく、国際協力等の枠組みでの実施予算の確保に向けて調整を実施しているところである。 RESTEC としては、今後もこのような活動を継続的に実施し、開発途上国における安心・安全な社会の実現に寄与して行きたいと考えている。表 1 実証実験の実施結果

ページ 24 ALOS data 利用事例集 20081.はじめに 農林水産省大臣官房統計部(以下「統計部」と言う。)では、農業の生産基盤となる耕地と土地利用の実態を調査し、生産対策、需給対策、構造対策等に関する農業行政を推進するための資料を作成することを目的とした調査として「面積調査」を実施している。 このような状況の下、統計部では、より効率的に面積調査の母集団整備を行うため、衛星画像の活用方法等に関する研究を進めることを目的に、平成 10 年 2 月にJAXA(当時宇宙開発事業団)との間で「リモートセンシング技術を活用した農作物生産量予測の研究開発に関する協定」を締結し、以後、昨年度まで協定の更新を重ね、一定の成果を得たことを踏まえ、19 年度から面積調査母集団整備においてALOSの画像の活用を開始した。2.面積調査(1)種類1)耕地面積調査…田畑別耕地面積、耕地の拡張・かい廃面積を把握2)作付面積調査…水陸稲、麦類、果樹等の作付(栽培)面積及び農作物作付(栽培)延べ面積並びに耕地利用率を把握(2)面積調査の仕組み 耕地面積及び水稲作付面積は、統計的手法に基づいた標本調査により実施している。調査においては、全国の耕地を一定面積に分割して編成した「単位区」の集まり(母集団)から抽出された「標本単位区」について、現地に出向き田、畑、水稲の現況面積を調査している。この方法を「対地標本実測調査」といい、この結果によりそれぞれの面積を推定している。3.単位区と母集団の編成 面積調査では、全国の耕地とその周辺にある開墾可能な土地を調査対象としており、調査を効率的に実施するために、「単位区」という調査の単位を編成している。具体的には、衛星画像、国土基本図、地積図や航空写真等々を用いて、農道・水路など明確なものを境として、耕地面積が約2ヘクタール(北海道では約 10 ヘクタール)となる地続きの区域に分割する。このように分割されたものを「単位区」といい、この単位区の集まりを標ALOS データを活用した面積調査母集団整備等の現状農林水産省大臣官房統計部生産流通消費統計課 副島 栄造我が国の「食」を担う面積調査に ALOS を活用図1 面積調査の模様図2 単位区の例

ページ 25 本調査の「母集団」としている。単位区については、その母集団管理を的確にするため、各単位区の田畑別の面積を単位区台帳に整理している。4.母集団整備が必要な理由 耕地は、年月の経過とともに農地造成、宅地等への転用、耕作放棄、ほ場整備などにより状況が変化していく。 このため、母集団を整備したその時点では現況と一致していても、年月の経過とともに母集団と現況の間に乖離が生じてくる。 面積調査では、調査結果について所要の信頼性を保つことが大変重要となるため、変化した部分を母集団に反映させるための作業(母集団整備)を計画的に実施し、現況との乖離を可能な限り少なくした母集団から標本を抽出することが重要とる。5.ALOS画像の活用 従来は、資材のひとつとして航空写真を利用していたが、撮影範囲や撮影された年次等の関係で、望み通りの写真を入手することが難しいという状況も見受けられた。このため、可能な限り最新の情報を得るために、ALOSのパンシャープン画像を活用することとした。(1)ALOS画像活用のメリット1)最新の画像が使用可能2)航空写真に比べ安価3)衛星は撮影範囲が広く、これまで航空写真等の入手が困難であった地域をカバーする可能性がある なお、衛星も万能という訳ではない。日本の気象条件は複雑で、雲等の発生も多く、良好な衛星画像を得られるチャンスはある程度限られるのが現状である。例えば、雲等の発生が多い奥羽山脈沿いでは、良好な画像の入手に苦労している。  撮 影 さ れ た ALOS 画 像 は、CROSS(https://cross.restec.or.jp/)に掲載されているブラウズ画像で目的とする地域の被雲、雲影、靄等の状態を十分に確認したうえで購入することとなるが、判断しづらいこともある。このため、RESTEC と必要に応じて調整を行った上で購入を進めている。6.今後の展開 平成 20 年度、より効率的な面積調査母集団整備に資することを目的に、地理情報システム(GIS)を地方組織へ導入する予定である。 今後も、引き続き面積母集団整備の際には ALOS 画像の活用を図るとともに、更なる業務の効率化に向け努力することとしている。 ALOS に代わる次期衛星の計画も推進されているようであり、一日でも早く新たな技術の恩恵を受けられることを心待ちにしているところである。図4 ALOS画像と母集団の重ねあわせ図3 計測機器の例

ページ 26 ALOS data 利用事例集 2008ALOS データの現業利用の紹介~農業における利用事例~株式会社ビジョンテック原 政直水稲の現場で衛星データを活用1.はじめに 株式会社ビジョンテックは、人工衛星による地球観測データ(以下、衛星データという)を利用した情報の提供やその利用のためのシステムの構築などを主業務とする会社として 1997 年に茨城県つくば市に設立された。これまで衛星データの加工や情報抽出などのサービスやその情報の利用に関わるシステムの構築サービスを行っているが、その一例として農業分野、特に水稲の生産現場での利用への取り組みについて紹介する。 日本の農業分野は、少子高齢化(担い手不足)や農地の広域化の問題、さらには WTO(FTA)の問題などその取り巻く環境には厳しいものがある。そこで、水稲の生産現場におけるこれらの問題に対して解決の一助とすべく、衛星データを利用した水稲の生産現場で役立つ農業 IT「衛星データを利用した営農情報サービスシステム」の構築を目的として、まず平成 15 年度に山形県の委託事業で高分解能衛星データ圃場管理システム開発を行った。次に経済産業省の中小商業ビジネスモデル支援事業・実用化研究開発事業(平成 16 年度)、中小企業・ベンチャー挑戦支援事業・実用化研究開発事業(平成17 年度)、つくば市産業創出支援補助事業・創造的研究開発補助事業(平成18年度)など公的資金の援助を受け、その市場調査から実証実験までを実施した。それらの事業を通じて得られたユーザニーズに基づいて、生産現場における農業 IT としての営農情報サービスシステムの構築を行った。2.ALOSデータを利用するにあたって 衛星データを利用した営農情報サービスシステムの構築にあたり、空間分解能や観測頻度、タイムリー性、被雲の影響、費用対効果などの問題を認識し、何らかの方法でそれらの解決を図り、ユーザの満足を得ることを考慮した。図 2 に衛星データを主なデータソースとする営農情報サービスシステムの概念を示すが、圃場図や食味マップの作成には空間分解能や観測幅、価格面でメリットの高い ALOS の PRISM や AVNIR-2 を利用した。観測頻度やタイムリー性の補完には MODIS を利用し、また、被雲の影響低減には近赤外線デジタルカメラによる局所観測を行うことで補完した。さらに、MTSAT やAMEDAS などの気象系のデータを複合的に利用することによって問題の最小化を図り、生育状況や食味診断などの営農情報を提供するシステムとして構築した。3.ALOSデータを利用した事例 図 2 に示したシステムでは、図 3 に示すような営農情報が定期的に配信される。そして「うまい米」、「売れる米」の重要な指標になる「食味」について、主として ALOSの PRISM、AVNIR-2 を利用してその分布図を作成している(図4)。図1 支援・補助事業の成果報告書

ページ 27 4.今後の希望 衛星データを利用した営農管理情報サービスには、データベースの構築が重要であり、衛星観測のタイムリー性と被雲による影響の低減についてはさらに費用対効果の高い解決方法が求められる。その前提として、重要なデータソースである衛星データが継続して安価に入手できることが重要である。図2 人工衛星を利用した作物生育診断情報システムの概念図図3 定期的に配信される営農情報図4 食味分布図MTSATMODISALOSMTSATMODISALOSMTSATMODISALOSMTSATMODISALOS

ページ 28 ALOS data 利用事例集 2008ALOS データで「緑」を測るALOS を利用した八王子市緑被率抽出株式会社建設技術研究所 東京本社 社会システム部環境システム室 小松 豊、林 泰雄、松嶋 健太株式会社スーパーマップ 中田 由和写真1 八王子市の緑©八王子市写真2 緑被覆マップを作成1.はじめに 株式会社 建設技術研究所(以下「CTI」と言う。)は、人々の生活環境の向上を最優先し、最適な社会資本のあり方とその整備の一翼を担っているコンサルタントである。最近では、新たなニーズである 「自然との共生」、「災害と環境」をテーマとした計画・設計やインフラ整備にも積極的に取り組んでいる。 CTI 社会システム部環境システム室は、官公庁や自治体における省エネルギー導入計画や地球温暖化防止対策などについてサポートするなど、私たちが毎日の生活をより安全で豊かに暮らすための重要な役割を担っている。2.八王子市緑の基本計画 「八王子市緑の基本計画」は、都市緑地法に基づいて位置づけられた計画であり、緑地の保全及び緑化の推進などの総合計画となるものである。八王子市における今後の公園・緑地の適正な配置と整備、自然環境の保全、都市緑化の推進、緑化の体制づくりなど、みどりに関する各種施策を総合的・体系的にとりまとめ、八王子市のまちづくりの推進を図ることを目的としている。八王子市はこの計画を推進するため、市内の緑の現況を踏まえた計画の見直しを 2008 年春、CTI に対して委託した。その中で、市内全域における緑で被われた土地の面積が占める割合(緑被率)を算出する作業を行った。3.ALOSを利用した八王子市緑被率抽出(1)使用データの選定 緑被率算出の対象となる緑は、森林、草地、公園、水田、街路樹のほか、個人住宅の庭や屋上の緑も含まれる。CTI はまず、市内全域を撮影した写真からこれら緑を抽出しマッピングした「緑被覆マップ」の作成を実施した。使用する写真の選定にあたっては、航空写真や衛星写真を比較検討し、充分な解像度と、安価で今後も継続的にデータを得ることができる ALOS データを使用することとした。約 180Km2と広い面積を有する八王子市全域を1 枚の ALOS/AVNIR-2画像でカバーできることも決め手となった。(2)ALOSを利用した緑被覆マップ作成 緑被覆マップを作成するために使用したデータは、八王子市を 2007 年 5 月に観測した AVNIR-2/PRISM データ及びオルソ空中写真である。ALOS データによる緑被覆マップの作成は、以下の手順で行った。

ページ 29 と保全を考えていくうえで、欠かすことのできないものとなっている。図2 緑被判定結果図1 衛星画像(AVNIR-2)1)画像の幾何補正 ALOS データには幾何学的なずれがあるため、すでに補整されているオルソ空中写真画像に合わせAVNIR-2 の 4 バンド、PRISM のパンクロ(白黒)画像について幾何補整処理を行った。その後、八王子市域(186km2)を含む矩形領域で画像を切り出し、この画像をもとに植生域の抽出を行った。2)植生域の抽出/分類  植生域の抽出は、AVNIR-2データを用いた正規化植生指数(NDVI)による手法、自動分類による手法(ISODATA法、最尤法)の3つの手法で行った。3)検証・確認 作成した緑被覆マップの検証を行うため、前年度の 2007 年度に更新された土地利用現況図との照合を実施した。土地利用現況図及び緑被覆マップ上において「緑」と示されている地域を照合し、合致していることが確認された。 また、ALOSデータ中、雲で覆われて植生の抽出ができなかった地域があったため土地利用現況図や他情報から緑の状況を確認した。さらに5月観測により植生域の抽出/分類ができなかった水田についても、土地利用現況図により水田を確認し補正を行った。(3)緑被面積を求める 作成した緑被覆画像から緑被面積を求めるため、ラスターからベクターデータへの変換を行った。分類した画像を 3 分類(森林、草地、非植生)に統合した画像を用い、シェープファイル(ポリゴン)に変換し、緑被面積を求めた。4.終わりに、今後への展開 今後の展開として、緑被率よりさらに緑の対象を広げ、河川などの水面や緑に囲まれたグランドなども含む「みどり率」を算出することをALOSに期待している。 これらのように、CO2の吸収源としての緑の整備、生物多様性を確保するための緑の配置とネットワーク化など、緑の役割の高まりを背景に、効果的かつ効率的に「緑」を把握することは重要であり、これからの地域環境の把握図3 ALOSデータによる緑被覆マップ

ページ 30 0ALOS data 利用事例集 2008山岳氷河モニタリングへの ALOS データの利用RESTEC研究部 冨山 信弘融解が進む山岳氷河へ ALOS が挑む手のように堆積した地形)が氷河から溶け出した水を堰き止めてできているため、このモレーンに崩壊の危険性がないか把握することが重要である。モレーンの状況を把握するためには、比較的、空間分解能が高い画像が必要となるが、ALOS に搭載された PRISM と AVNIR-2 のデータで作成されるパンシャープンのデータが有効と考えられる。 山岳氷河は急峻な山岳部の谷地形に発達しているものが多く、雲がかかりやすい地形的な特徴があるため、光学センサでは観測できないことが少なくない。そこで活躍するのが ALOS に搭載された PALSAR である。PALSAR は雲を透過して観測ができる上、氷河湖のように滑らかな表面を持つところが非常に暗く目立って見えるため、新しい氷河湖の検出などにも適している。 このような ALOS データの特徴を活かして、RESTECでは、2006年度よりブータン・ヒマラヤ地域における氷河湖モニタリングや、ボリビア・アンデス地域における氷河の高さ検出などを行ってきた。次章で具体的な利用事例を示す。1.はじめに 近年、世界中の多くの山岳氷河において、地球温暖化の影響と考えられる氷河後退(氷河が溶け出して少なくなることにより、氷河の先端部が徐々に下がっていく現象)が急速に進んでいる。山岳氷河は周辺で暮らす人々にとっては重要な水資源であり、飲料水や農業用水、水力発電など生活のあらゆる面で利用されている。急速に進む氷河後退は、近い将来、深刻な水不足を引き起こしかねない。山岳氷河の変遷を調べることは水資源を管理するうえで重要であり、地球観測衛星によってモニタリングしていくことが望まれている。 山岳氷河のモニタリングは、上述したような環境面だけでなく、災害監視・減災の観点においても重要である。氷河から溶け出した水は、氷河の先端部近くに氷河湖を形成することがあり、氷河湖が決壊すると下流域に洪水被害をもたらす危険性がある。1994 年にブータンで発生した氷河湖決壊洪水は 90km 以上も離れた下流域で大きな被害をもたらし、20名以上の死者が発生した。 以上のように、地球観測衛星による山岳氷河のモニタリングは、環境と災害の両面においてとても重要である。2.ALOSデータを利用するにあたって 水資源の管理といった環境監視の側面から山岳氷河のモニタリングを考えた場合、氷河が蓄えている水量を推定するために、氷河の高さを抽出することが重要である。これまでの衛星リモートセンシングでは、画像から氷河の範囲を面積で把握することはできたが、高さまで求めることは困難であった。ALOS に搭載された PRISM は 3方向視のセンサを活かして高さを求めることが可能であり、PRISM データを活用することにより、氷河の高さを求め、氷河の水資源量推定への応用が考えられる。 次に、災害監視の観点から氷河湖をモニタリングする場合だが、氷河湖の決壊の危険性は氷河湖そのものの大きさ(面積)だけで判断されるわけではない。氷河湖はモレーン(氷河が削り出した岩石・岩屑や土砂などが土図1 AVNIR-2とパンシャープン画像の比較(左)AVNIR-2の画像 (右)パンシャープン画像図2 PALSARによる氷河湖    の見え方©JAXAIncluded©JAXA©METI.JAXA

ページ 31 1ゾンと呼ばれるこの地域の政治と宗教の中心地となる大型建造物をとり囲むように浸水域が抽出されているが、1994年の洪水によって浸水した領域と良く合っている。このような情報を利用してハザードマップを作成するなど、被害軽減へのALOSデータの応用が考えられる。(2)ボリビア・アンデス地域における氷河の高さの検出 世界銀行の CLIMATE CHANGE INITIATIVES GRANTSの枠組みにおいて、ボリビア・アンデスの氷河モニタリングに関する調査を行った。 水資源として氷河の体積量を推定するためには氷河の高さを求める必要があるが、氷河やその周囲の雪山などは一面白くみえるため、画像処理の原理上、高さを求めることが困難である。しかし、PRISM データを利用して DSM データを作成したところ、図 5 のように氷河や雪山のところでも比較的良好な高さの情報が求められた。この理由として次のような2点が挙げられる。 ひとつは空間分解能が 2.5m と高分解能であること。一見、真っ白に見える雪山や氷河でも、分解能が高くなると、所々僅かに見える岩肌や凹凸による影などが認識できるようになり、その高さが求められる。こうして高さが求められる個所は限られているが、その高さをもとに周囲を内挿して補うことができた。 もう一つの点は PRISM が 3 方向視のデータを持つことである。一般にステレオ視による高さ情報の抽出には2 つの方向から観測されたデータがあれば処理は可能とな る た め、3 方向のデータから輝度の飽和が少な い 2 つ を 選 択して解析できることも良好な結果につながった。4.終わりに 今回の取り組みによって、山岳氷河のモニタリングにALOS データが有効であることが分かってきた。現在、氷河湖決壊洪水が心配される氷河湖がアジアのヒマラヤ地域だけでも 200 個以上存在するといわれる。今後とも RESTEC では、外部の機関とも協力しながら、ALOSデータを用いた世界の山岳氷河のモニタリングに取り組んでいく予定である。3.ALOSデータを利用した事例(1)ブータン・ヒマラヤ地域における氷河湖モニタリング 「平成18年度 財団法人 新技術振興渡辺記念会 助成研究」としてブータン・ヒマラヤの氷河湖モニタリングに取り組んだ。図 3 に示すグラフはブータン・ヒマラヤのルナナ地方に存在する3つの氷河湖の面積の推移である。2006 年以前のデータは ALOS のものではないが、過去から様々な地球観測衛星が観測してきたデータを時系列的に解析することによって、その変遷を知ることができる。 衛星データをこのような氷河湖の監視に利用するだけでなく、氷河湖決壊洪水が発生した際の被害域を推定することに応用することも考えられる。図4はPRISMから作成した DSM データ(高さの情報)を利用して、1994年に実際に洪水が発生したときと同じ 2m の水位上昇した場合に浸水する領域を推定したものである。プナカ・図3 ルナナ地方の氷河湖の面積変化図4 PRISM DSMの高さ情報から推定した河川氾濫域図5 PRISM画像の3D表示Included©JAXAIncluded©JAXAIncluded©JAXAIncluded©JAXA

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