データ利用事例

 インターネットへの利用

Yahoo! 地図における ALOS データ利用
ヤフー株式会社 地域サービス事業部 PM 室 Yahoo! 地図・路線担当 来田 宣之

■ はじめに

 インターネットポータルサイトYahoo!JAPANは、 ニュースなど各種コンテンツ、ブログなどのソーシャル系、オークションなどのコマース系など、様々なサービスを展開している。
 Yahoo!地図は、1998年4月にサービスを開始以来、 2008年に10年目を迎え、約1,900万の月間ユニークカスタマーが利用する日本国内で一番利用される無料のWEB地図サービスだ。
 Yahoo!地図は、目的地に行き着くための情報を集める機能の提供に加え、常に新しい使い方や楽しみ方を追求している。例えば、昭和30年代の地図やクチコミ投稿できる地図など、地図にかかわる新しい価値を提案し続けている。近年では、衛星・航空写真を使用した「写真地図」に対するユーザーニーズの高まりを受け、2005年よりLANDSAT/ IRS及び航空写真による写真地図サービスを開始し、併せて写真地図へのニーズがどこまであるのか、対価の大きさを含めて次なるサービスの展開を模索していた。


■ ALOS データを採用するまで

(1)写真地図への課題
 Yahoo!地図は、経年変化情報の多い地図データには「鮮度」が重要と考え、毎日地図を更新する。かつ全国で地域の欠けなく地図を提供する「網羅性」も重視していた。
 また、転用を防ぐため、写真地図上に出展元の情報等が表記される電子透かしを使用していたが、透かしなしのきれいな写真地図をユーザーに見せたいとの思いもあった。このように、地図データ上に、多くの情報を集約し、見せ方を最適化してはじめてユーザーに使って頂ける地図サービスが成立するのである。

(2)ALOSデータの採用
 写真地図の対象エリア拡大及び鮮度の向上、さらに、 高い解像度と広い縮尺階層に対応できる衛星写真を探すYahoo!
地図の努力は続けられていた。その間にも社会における写真地図の普及・認知度はより拡がり、ユーザーの反響も大きくなっていった。そのような状況の中、ALOSによる日本のデータ取得が進み、Yahoo! 地図の要求「網羅性」に応えられるレベルに達していた。もうひとつの「鮮度」についても、ALOSは毎日地表のデータを取得していることからクリアされた。このほか、解像度とコストパフォーマンス、 画像使用に当たって電子透かし文字を不要とすることを合意できたことなどから、ALOSの採用が決まった。


■ Yahoo! 地図のリニューアルまで

(1)写真地図の実装
当初 Yahoo! 地図へ提供された ALOSデータは、日本列島のパンシャープン画像及びパンシャープン画像が揃わない地域を補完する形でのAVNIR-2画像であった。

1)パンシャープンデータ
AVNIR-2とPRISMにより取得された直下同時観測画像を、パンシャープン加工の上、更にオルソライト処理したもの
・シーン単位(35km×35km) 2.5m解像度
・日本列島全域をカバーするためには約1000シーンを要する。(離島を含む)
2)AVNIR-2データ
・AVNIR-2 により取得された直下観測画像をオルソライト処理したもの
・シーン単位(70km×70km)10m解像度 ・日本列島全域をカバーするためには約400シーンを要する(離島を含む)
Yahoo!地図は、これら ALOSデータを実装するに当たり、鮮度の高い衛星写真のインパクトを最大限に発揮するため、ALOSデータを実装して公開するまでのスピードを最優先とした。Yahoo!地図は少しでも新鮮な画像 をユーザーに届けることに挑戦したのである。


図 1 Yahoo!地図におけるALOS画像使用

(2)10年目のリニューアル
 Yahoo!地図サービス開始10年目を迎えた2008年6月、ユーザーへのリサーチなどを実施し要望が寄せられた内容を中心に、「優しい」をキーワードにリニューアルが行われた。「優しい」とは、「ユーザーが Yahoo! 地図を ますますわかりやすく、簡単に、すばやくご利用していただきたい」という思いを込めたものある。インターフェースデザインを一新し、ユーザビリティを向上させ、簡単で便利に使える機能を実装した。その一環で地図サービスでトレンドな写真地図もALOSデータを実装 するなど、ボリュームアップを実施。リニューアルポイントは以下となる。

1)「行ける地図」として最寄駅からのルート機能などを充実
地図の多くの利用は、「行く」目的地を確認した後は周辺の最寄駅を探すという行動に移る。最寄駅からのルート機能と2点間の道案内機能を充実させ、優しく道案内する。

2)「探せる地図」 周辺の豊富な情報を簡単に探せる機能が充実
130種類以上の実用カテゴリを新設し、周辺のお店や施設が簡単に探せる。周辺検索で入手できる情 報はYahoo!JAPANの24のサービスと倍増し、情報量は約620万件。各サービスの新鮮な専門情報を、 地図を基点にお届けする。

3)はじめてのひとにも優しい
地図データが毎日更新しているので新鮮。すぐに 新スポットも確認できる。使い方ガイドも充実。

4)小中学生にも優しいYahoo! 地図トップページには、日本語表記の世界地図を収録し、国名カテゴリやクリッカブルマップでより簡単に探せる。学習時にも有効だ。

5)ブログユーザーにも優しい簡単に地図をブログに貼り付けたいというニーズにこたえた「貼り付け地図機能」も実装。

6)写真地図好きなひとにも優しいALOSデータを実装するなど写真地図もボリュームアップし、縮尺階層も従来比2倍へ拡大することができ好みの縮尺で見ることができる。縮尺レベルデータ
・世界 Yahoo!inc の衛星写真  ・全国 Yahoo!inc の衛星写真  ・県 ALOS 衛星写真  ・市 ALOS 衛星写真  ・町 ALOS 衛星写真  ・丁目 航空写真3社組合せ

(3)ユーザーの反響
Yahoo! JAPANの調査では、写真地図の優位性として、「地図だけより現地を想像しやすい」という要素以外に も「暇つぶしになる、使っていて楽しい」というエンタテイメント性に高い反響があることが確認されている。
リアル性を追求したサービスとして写真地図を実施した結果、エンタテイメント性も向上したことは、過去のポケベルのケースのように、新しいデバイスやプラットフォームを提供されたユーザー自ら利用の幅を広げた実例と言える。


■ 今後への期待

 Yahoo! 地図は、地球・世界規模での最新情報をユーザーと共有したいと考える。地球からは見えない画像が見える点が衛星写真の大きな特徴であり、航空管制が厳しい海外でさらに効果を発揮する。Yahoo! 地図のユーザーが見たいときに世界中で見られるサービスをALOSデータを使って実現し、また衛星写真を通じて地球にもっと関心を持ち、環境保護などエコ社会へ意識を高めたいと考える。

▪ Yahoo! 地図 http://map.yahoo.co.jp


図2 ワイワイマップ 地図を使用したコミュニティーサービス
その他の利用事例はこちら(別ウインドウで開きます。※要Flash Plugin)

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